こんにちは。
都市対抗野球への出場チームが徐々に決まりだす時期となってきました。
「やっぱり強いな」という盤石の戦いぶりを見せた強豪チームが出場を決めた地区があれば、「まさかこんなことに」という番狂わせが起こった地区もあり、緊張感のある展開が続いています。
そんな中、昨日ZOZOマリンスタジアムで行われた南関東地区の第一代表決定戦、日本通運vs.Hondaの試合を観戦してきましたので、その様子をお伝えします。
大熱戦ということもあり、いつもより若干写真が多めになりましたが、どうか最後までご覧いただけますと嬉しいです。
【トップ画像】木南選手の満塁ホームラン後、3塁ランナー森松選手を先頭にベンチへ戻る選手たち
決戦の地・ZOZOマリンスタジアムにやってきました。
もはや説明不要の千葉ロッテマリーンズの本拠地ですが、神奈川からだとまぁ遠い…。
もし負ければ翌日も再びこちらでの試合となるため、今日で決めてほしい!
今日も日本通運のチーム券を拝借(いつもありがとうございます)。
撮影出来る場所があるか心配でしたが、グラウンド前最前の素晴らしい席に陣取ることが出来ました。
座席前には小さなテーブルもあり、座席の座り心地もよかったですが、プロ野球開催の際には相当な額を取られそうだなぁと…
そしてこれはZOZOマリンスタジアムの面白い構造なのですが、ベンチ前方に屋根がなく、客席から見やすいようになっているので、ベンチ内の様子が観察出来ていつもの観戦にプラスして楽しさがありました。
程なくして両チームの選手によるウォーミングアップが始まり、シートノックに入ります。
そして両チームのエール交換、選手の挨拶を経て、定刻より少し早くゲームがはじまりました(所謂JABAタイムってやつ)
日本通運の先発は川船選手。
前回の登板は埼玉県予選の決勝だったので、2戦連続でHondaに対することになりました。
▲(参考)埼玉県予選の記事
初回から攻めたいHonda打線は1番千野選手(写真右)がフォアボールで出塁しますが、続く鈴木選手(写真中)はセンターフライに倒れます。
3番の小口選手の当たりはショートゴロとなりますが、ダブルプレー崩れで1塁に残ったところですかさず盗塁を仕掛け、2アウト2塁のチャンスを作ります。
しかし川船選手は4番の井上選手を空振り三振に抑え、初回を無得点で切り抜けます。
一方Hondaの先発は東野選手。こちらも埼玉県予選の決勝で先発だったので、この日の両先発の顔ぶれはこの前の県営大宮球場の時と全く同じだったんですね。
東野選手の立ち上がり2イニングは日本通運打線の早打ちもあって、かなり早い時間で守備の時間を終わらせていました。
2回表のHondaは1アウトの後、6番辻野選手がフォアボールで出塁。
しかし後続は連続三振に倒れ、得点を奪えません。
この日の川船選手は何となくマウンドに合ってなさそうな印象がありましたが、それでもHonda打線に的を絞らせない好投を披露します。
3回裏、日本通運は好調の7番木南選手がヒットで出塁するも続く手銭選手がバントを打ち上げてしまい、ダブルプレー…かと思われたところでHondaに送球ミスが出て命拾いをします。
その直後、木村選手がセンターへのヒットを放ちます。
1塁ランナーの木南選手を刺そうと外野から3塁に送球されたところで木村選手も2塁を陥れます。
「相手のミスに付け込む」「隙があったら果敢に次の塁を狙う」今年の日本通運打線の持ち味を発揮し、1アウト2・3塁のチャンスを作ります。
しかし、1番添田選手と2番稲垣選手は倒れ、この試合最初の好機を活かすことは出来ませんでした。
しかし日本通運打線は続く4回も先頭の3番・北川選手がレフトフェンスを直撃する強い当たりを放ってツーベースとします。
北川選手は南関東予選に入ってから当たりが止まっていましたが、ここでようやく「らしい」当たりが出ました。
続く森松選手が送りバントを決めて1アウト3塁とした後、5番の大谷選手はデッドボールで出塁。大谷選手はデッドボールが多いイメージなので毎回大変そうです…
続く7番の木南選手はカウントが悪くなったところで敬遠して8番の手銭選手との勝負を選択。
Hondaとすれば木南選手の調子と左右の相性を考えれば妥当な選択だったと思います。
しかし手銭選手はレフトへ上手く合わせて2点タイムリー。
手銭選手も今年のJABA大会では好調ながら南関東予選に来てから当たりが止まっていましたが、ここで一本出たことはかなり大きかったと思います。
5回まで終えて欲しい一本が出た日本通運が2-0とリードします。
さて、先ほどもお伝えした通りこの日はZOZOマリンの構造のお陰でベンチの様子がいつも以上によくわかりました。
ベンチの中でも特にいい動きをしていたのが木下選手と高橋選手でした。
木下選手は常にベンチの最前列にいて他の選手を盛り立てていましたが、特に印象に残ったのが、4回のチャンスで三振した沓澤選手がベンチに戻ってきて後ろの方に座ったのを見て、自らの横に呼んでチームメイトの応援させつつ、手銭選手のタイムリーが出た際には真っ先に励ますというシーンでした。
また、高橋選手は常に大きな声を出していましたが、ただ声が大きいだけではなく、チームの気が緩みそうになった時には、気を引き締めさせる掛け声を出すといった形で、2人ともベンチの雰囲気を上手く作っているなと思いました。
常に明るい雰囲気の日本通運の底力は試合に出ていない選手の貢献もあるのだと感じさせられました。
さて、両チームとも5回終了後のグラウンド整備明けから継投策に入ります。
日本通運の2番手はサウスポーの平元選手。
川船選手から2年目同士のリレーとなりました。
最速140km/h台中盤のストレートを軸に、6回7回をヒット1本に抑えます。
一方のHondaもサウスポーを投入。中村選手がマウンドに上がります。
日本通運打線も右打の諸見里選手を代打で起用するなどの攻撃を見せますが、6回7回を完全に抑えられてしまいます。
すると8回表、先頭打者の代打・守屋選手の当たりが絶妙な場所に転がって内野安打になるという日本通運としてはアンラッキーな形で出塁されます。
送りバントを許したのち、代打佐藤選手の当たりを、5回の走塁で負傷した稲垣選手に代わってサードに入った楠本選手が上手く捌いて2アウトとします。
一度裏で治療した後ベンチに戻ってきた稲垣選手も声を出して盛り上げます。
しかし、2番の鈴木選手がライト前に落ちるヒットを放ち、1点を返されます。
さらに、北川選手の内野への送球が逸れるというミスが出て鈴木選手の2塁への進塁を許し、引き続き得点圏にランナーを背負ってしまいます。
ここで平元選手に代わってレフトポール際にあるブルペンから和田選手が登場。
しかし、一度コーチがマウンドに行って引き上げてからの投手交代が認められず、和田選手は不服の表情を浮かべながらベンチに引き上げることとなり、微妙な雰囲気となっていたところで3番の小口選手がライト前へのヒットを放ち、Hondaが同点に追いつきます。
本塁が微妙な判定だったためにキャッチャー・木南選手の猛抗議もありましたが、判定は変わらずでした。
ここで和田選手が登板、かと思いきや、迎えるバッターが左の4番・井上選手だったため、サウスポーの庄司選手が先に登板します。
しかし井上選手も左対左の不利な対戦ながら、4番の意地を見せて単打で繋ぎます。
続くバッターは、この日ヒットを放っており、前の試合では決勝ホームランもあって警戒すべき5番バッター・藤野選手を迎えますが、ここでようやく和田選手がマウンドに上がります。
登場の際にアクシデントがあってモチベーションを保つのが難しい場面、しかも思わぬ形でブルペンでの投球練習が途中から出来なくなってしまったという相当タフな条件で登板した和田選手、
ファーストゴロに抑え、渾身のガッツポーズ。
数々の修羅場を経験した和田選手がアクシデントで厳しくなった流れを見事に堰き止める投球を見せてくれました。
反撃を凌いで競り勝ちたいHondaは、リリーフエースの福島選手を送り込みます。
しかし、南関東予選でここまで何となく湿っていた日本通運打線がここで一気に目を覚まします。
まずは先頭の2番楠本選手がしっかりとボールを見極めて出塁します。
そして今日ヒットも放っている3番の北川選手に対して送りバントのサイン。
今年は主軸に対してもどんどん送らせて行くという賛否両論はありそうな方針の中、北川選手はきっちりとバントを決めた…かと思われたところでHondaにまさかの再びの送球ミスが出ます。
これで一転ノーアウト1・3塁の大チャンスとなり、ビックイニングの機運が高まります。
ここでバッターは4番の森松選手。
今年から4番を任された中、結果が出ないときもありましたが、ここではコンパクトに振り抜いた当たりがセンター前に落ちます。
この大一番で4番としての仕事を果たしてこのガッツポーズ。
日本通運が3-2とし、すぐに勝ち越しに成功します。
ここ最近の日本通運打線は1点を取った後に追加点を挙げられずに勝負を決定付かせられないという傾向があり、ここも難しい場面になりそうだと思いましたが、この日はそんな心配は不要でした。
5番の大谷選手はバント失敗に終わった後、6番で諸見里選手が入っていたところに代打で木下選手が登場。
先ほどもベンチでいい働きをしているとお伝えした木下選手ですが、出場する時にはDHでスタメンに入っても中盤~終盤に左投手と当たった時などに代打を送られる場面が多く、本人としては思うところもあったかもしれません。
しかしこの日は逆に自分が終盤の大事な場面で代打として起用され、執念で内野と外野の間に落とすといった当たりでチャンスを拡げ、1アウト満塁とします。
すると塁上でこの大きなガッツポーズ。プレーでもチームを大いに鼓舞します。
そしてここ最近終盤に試合を決める一打を放つことも多い木南選手が初球・低めのボールを上手く拾います。
その打球はぐんぐん伸びて左中間のラグーン(スタンド前にあるゾーン)へ。
試合を決定付ける値千金の満塁ホームランが飛び出します。
今年は守備では扇の要として熟練のリードで充実した投手陣をリードし、打撃では攻撃の起点にもポイントゲッターとしても機能するこれ以上ない7番打者として活躍する本当に頼りがいのあるベテランとして大活躍を見せています。
ベンチも3塁側応援席のボルテージも最高潮になり、木南選手は本塁生還後に手荒い祝福を受けます。
しかし、一度目覚めた日本通運打線はまだ攻撃の手を緩めません。
代わった朝山選手に対して9番の木村選手がストレートのフォアボールで出塁。
続く添田選手に対しても2球ボールが続き、ピッチャーとしてはどうしてもストライクを入れなくてはならない場面。
しかし添田選手はそれを見逃してくれるような打者ではありませんでした。
狙いを定めてフルスイングした当たりは目の覚めるような弾丸ライナーとなり、ZOZOマリンのラグーンさえ越えてライトスタンドに突き刺さる2ランホームランとなりました。
そしてすかさず「ラヴィット」ポーズ。
まさに休日の昼間ながら、もう平日の朝がやってきたかのような衝撃です(?)
ところで、個人的に思う添田選手の強みとして「4タコ・5タコが少ない」ことがあります。
打撃ではほぼ必ず1回は出塁するか打点を挙げるかの活躍をして見せ場を作っている印象のある添田選手ですが、この日はこの打席まで珍しく4打数ノーヒットで、もしも一度Hondaに追いつかれなかったら打順の巡り的にもそれで終わっていそうなところでした。
ちなみに、前回の埼玉県予選決勝・Honda戦でも同じような状況で、そちらも思わぬ形で最後の打席が回ってきてサヨナラヒットという結果でした。
そのような形で、打撃でいいところがなくても最後の最後で転がり込んできたような好機で見せ場を作るあたり、本当に「持っている」選手だなと思います。
ベンチ前でもう一度「ラヴィット」。
公式インスタグラムを見ると、チーム内でも徐々に流行ってきている様子。
都市対抗本選ではもっと大いに流行らせたいところですね。
9回には「中田のアニキ」こと中田選手が登板。
そういえば、この日登板した選手は全員南関東予選初登板だったんですね。
厳しい試合にも関わらずそれぞれよく役割を全うしました。
中田選手はブルペンを支える兄貴分として相手に何も起こさせない投球を披露し、三者凡退で試合を締めくくります。
マウンド周辺に出来た歓喜の輪の中には負傷の影響で木下選手におんぶされた稲垣選手の姿もありました。
怪我の程度は分かりませんが、なんとか本選に間に合って欲しいところです。
試合後表彰を行い、記念撮影となりました。
気になる最優秀選手は森松選手でした。3試合を通じての活躍なら誰になるかなと思っていたところでしたが、やはり決勝での勝ち越し打が大きかったようです。
そして澤村監督の胴上げとなりました。
上手く撮影できなかったのか、やり直しとなり、少し締まらない場面も見られました(
さて、ここまでいつもより写真量も文章量も多めでお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。
前の記事でお伝えしたと通り、これまで幾度となく行われてきた埼玉、南関東でのHondaとの戦いは、Hondaが来年から東京地区に移ることで、これが最後でした。
ここ数年、南関東ではHondaにずっと負け続けていた中、最後の最後で一矢報いたといったところでしょうか。
準決勝の観戦ブログでは「二度と南関東に帰って来る気を失せさせるくらい圧倒したい」などと記しましたが、大体そのような形に持っていけたかなと。
▲(参考)準決勝の記事
南関東予選全体を見ると、昨年に続いて今年もJFE東日本が敗者復活初戦で散り、また準決勝で対戦したかずさマジックは日本通運戦でも実力を見せたエースの山本選手と4番の吉田選手が大活躍し、Hondaを抑えて第二代表を勝ち取るといった力を見せ、「よくこの選手たち相手に勝ち切れたな」と思わせるなど、決して簡単な戦いではなかったことが分かります。
しかし、今年の日本通運は上手く行かない場面こそありましたが、例年以上に持ち味のある強いチームとして、第1代表を勝ち取ることが出来ました。
本来の力を発揮すれば、都市対抗本選でもきっといい結果が出るはずです。
今後の日本通運の活躍を祈りつつ、今回の記事はこのあたりで締めたいと思います。
それでは、ここまでご拝読いただき、ありがとうございました。